博士課程をでて高校教師になろう
博士にも玉石混合だとか、*1人格的にどうなのかということは
まあ言われていますが…
ここでは、まともに勉強してきたけど、職がない!という人向けに書きます。
一部の自治体では、高校の教員免許がなくても、
博士号をもっていれば高校の教員になるための採用試験を受けられます。
ここに出ているのは、長野、岩手、静岡、秋田、京都(2013年現在)と、
2014年には和歌山でも始まったようです。
こんな記事もみつけました。
このかた、いろいろと考察されているので、わたしも同じように考えてみます。
わたしは、現在博士課程に在籍していて、
学部の頃は理学部だったため、就職がないらしい、みたいな話になって、
一応教職の授業をとっていました。
実習とかしてなくて、結局免許はないんですけど。。
でも教職の授業面白かったなあ。
教採の試験はみたことがないので、よくわかりませんが、
まあ博士号もちに関しては試験はあってもなくてもいいのかなと思います。。
博士にまでいった人なら、必要があれば身につけられると思います。
博士号をもつひとが高校教師になるとよい理由
として推しておきたいのは、
やはり一つのことを科学的に追求してきた経験があることです。
最近、「サインコサインが何の役にたつのか」*2とかいう話がありましたが、
博士もち(理系だけになってしまうかもしれませんが)
ならきっとそんなこと言わないと思います。
今勉強していることがどうやって積み上げられてきたか、
またそれらがどれだけ重要か
(また明日にはひっくり返る可能性もあることが)
しっかりとした理由をもって教えられると思います。
博士をもっている人々の研究が、
50年、100年先に教科書にのる事実になるのですから。
(それだけ認められれば、ですが)
教育とは知識の伝承、思考形式の伝達
もう一つの理由。
最近読んだ本「数学する遺伝子」 *3では、
すべての人は数学ができる能力をもっている、ということを説いています。
この本では、
教育の意味とは、職業訓練ではなく、知識の伝承、思考の様式の伝達である
とかいてあります。この「思考の様式」とは、
証拠を集めて検討し、その証拠を基礎とし、論理的に考える新たな証拠に基づいて自分の意見をかえることをいとわない
ことであり、これが「科学では重要」なことであるといっています。
このことは、研究するひとは必ず身につけているのではないでしょうか。
これを、伝えることが重要なのはないでしょうか。
また、同じ本で子どもたちが数学が苦手なのを克服するためには、
数学のテクニックを身につけなければならないと書いている。
そのための提案として、
学校が、その学科の魅力を生徒に見せることにもっと時間をさくようになれば、
もっと多くの生徒が基本的なテクニックを習得するための努力をする気になるだろう
とも書いている。
この「魅力を見せる」ことは、
きっと博士号取得者にはできるのではないでしょうか。
人文系についても
わたしは、理系なのであまりつっこんだことはわかりません。
人文学は、大学の(専任)教員になる意外には、ほとんど生計をたてる道はない
と書いてあります。
理系のポスドクのような職がほぼないようです。
それならば、高校教師になるのはどうでしょうかと思うのです。
研究をする時間は減ってしまうとは思いますが。
上の知識の伝承に関しては、人文系でも同じでしょう。
社会に出ている人文系の研究をしてきている人が少なければ、
それだけ理解してくれる人も少なくなってしまうと思います。
人文系の研究が重要ということを知ってもらえれば、
人文系の縮小*5なんてことにはならないと思うのです。
一番の砦
博士課程をでて高校教師になる一番の砦は、
「博士まででて、なんで学校の先生?」という周りの目じゃないでしょうか。
自分でもそう思う人もいるかもしれません。
でもこれから先、大事なのは教育ではないでしょうか。
質のいい教育のためには、教師が重要です。
(もちろん、教師がよけいな仕事をしなくてすむ環境も大事)
博士までで勉強したことを、研究以外で社会に還元していくことも、
重要な仕事ではないでしょうか。
「博士まででたのに。。」
といって、進む道を狭めていくことが、一番社会のためにならないと思います。
学校の先生は向いてないなーというひとは、それ以外もありますけどね。
*1:あの一件以降、かなり審査は厳しくなった気がする
*2:
*3:
数学する遺伝子―あなたが数を使いこなし、論理的に考えられるわけ
- 作者: キースデブリン,Keith Devlin,山下篤子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
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*4:
高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか? (光文社新書)
- 作者: 大理奈穂子,栗田隆子,大野左紀子,水月昭道
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*5: